| 開発教育指導者研修会 | 平成14年2月1日(土)2日(日) 仙台市 主催 国際協力事業団東北支部 |
| 以下は事例発表の録音テープを文章にまとめたものです。 |
| 「総合的な学習の時間 | |
| 秋田大学教育文化学部附属中学校の平和プロジェクトガイダンスから」 | バニヤンツリー 藤本恵子 |
皆さんこんにちは藤本です。私は、昨年から総合的な学習の時間を先駆けて行っている小、中学校と関わる機会がとても多くなりました。そこで今日は、秋田大学教育文化学部附属中学校で行った総合的な学習の時間の「平和プロジェクト」ガイダンスのプログラムを紹介したいと思います。
プログラムの流れは資料をご参考にお願いいたします。
このガイダンスは、総合的な学習の時間に生徒がどのプロジェクトを選択するか、その参考のために行われました。
実施日は、平成13年5月10日。参加人数午前63人。午後57人。午後の57人には三人の教師が含まれています。時間1時間40分。進行、藤本恵子。補助に秋田大学大学院生でバングラデシュ人のカビールさんをお願いしました。また教材のひとつとして、「私の国・私の村・バングラデシュ」というシャプラニールが作成したビデオを使用しました。他に、実際確認できるものとして、ビデオに出てくるひよこ豆を準備しました。
アクテビティに入る前に、アイスブレーキングをしました。「バースディライン」という言葉を使わないで、誕生日順に並ぶゲームです。普通は月日順に並ぶのですが、時間があまりありませんので、誕生月の順に並んでもらうことにしました。ところが時間を気にする必要はまったくなく、三分ほどで出来上がりました。その後感想を聞いたところ、「言葉が通じなくても意味が通じた」「手や足を使ったから簡単だった」そのような話が出ました。グループは12できたのですが、最終的に10にまとめました。
それでは、アクティビティに入ります。皆さんのお手元の参考資料をご覧ください。A4の紙を4つ折りにし、その4つのコーナーに書き込んでいきます。資料の1、左上になりますが、「平和のイメージ」横へ2「平和の反対」「3発展途上国イメージ」4「日本より平和のところ」と設定しました。この1234の内容は予め説明していません。
最初に、左上に「平和のイメージ」を書いてもらいます。「平和という言葉からどういうことを想像しますか」という質問をしました。それは、必ずしも言葉じゃなくてもいいし、絵を描いてもいい、自分が思う平和のイメージを書いてもらいました。さすがに絵を描いた人は3人でした。鳩の絵、自分が両手を広げている絵、なるほど平和を想像できるものでした。他は、「争いがない」「戦争がない」「安全」「安心」「平等」「教育が受けられる」「鳩」というのが平和のイメージでした。「なぜ争いが無いことが平和なのですか」と、問いかけをしました。そのことに対して発表した生徒の後に、「同じ人はいますか」「それは違うとか、そんなことはないと思う人いますか」と、先ほどのように聞いていきました。「平和のイメージ」だけで奥の深い話し合いになりました。
次に、「平和の反対」。「平和の反対は、何だと思いますか。」参加者の2/3以上が、「戦争」と答えました。「どうして戦争なのですか」と聞いたところ、「国語の時間に習ったから」だそうです。その場にちょうど国語の先生がいたので聞いてみました。その通り、国語で、平和の反対語は戦争なのです。では、「戦争が無くなれば、平和なのか」このような疑問が残ります。
一人の生徒が手をあげました。「平和の反対は平和でない状態だと思う。それは、どういう状態かというと穏やかでないこと。だから戦争ではない。」つまり、心が穏やかでないことが平和の反対だということです。違う角度から考えた意見でした。
これからビデオを見ますが、その前に、「発展途上国のイメージ」を聞いてみました。結果はやはり「貧困」が一番多かったです。他に「教育環境が整っていない」つまり教育を受けたくてもできないのではないか。「食料不足」穀物そのものが不足しているのではないか。「中国」「バングラデシュ」が発展途上国のイメージとして思い浮かぶという生徒もいました。
次に、バングラデシュ人のカビールさんが、「私は、バングラデシュ人ですが、物がないことが必ずしも貧困とは思わない。もっと別の貧困があるのでは、たとえば心の問題とか」ここで心の問題が出ました。貧困に対する、意見の違いが出ました。
その後、ビデオを見ました。私が、このビデオを選択した理由をお話します。自分が、今まで見てきた途上国のビデオは、貧しさを前面に出して援助を求めるようなものが多かったような気がします。でも、このシャプラニール作成のビデオを初めて見たときに、ポイラ村の美しさや子供の笑顔、そして協力し合うことの大切さ等、私たちが今の自分たちを見つめなおすことができるビデオだと思いました。また、シャプラニールの現地スタッフの活動や言動が、一方的ではなく、バングラデシュの人たちから何かを学び取ろうとする姿勢が感じられました。そのような理由から、このビデオを使うことにしました。
また、ビデオの中にダルスープが出てきます。ひよこ豆のスープですが、日本の一般家庭では食べることはないと思いますが、いかがでしょうか。そのひよこ豆がちょうど家にあったので生徒に配りました。そして、この豆で何かを経験して下さいという課題を出しました。あとで聞いてみたところ、「シチューにして食べた」「そのまま口に入れたら苦かった」と食した生徒がほとんどでした。「種は蒔いたらどうなるのですか」という質問もありました。育てた経験があったので種は蒔いたら芽が出ることを伝えました。実際、植えた人のほとんどが発芽の状態を見ることができました。ただし、収穫した人はいませんでした。私自身も途中で雑草と思われたことから、収穫の経験はありません。
ここから、ランキングに入ります。
ビデオを参考にしたランキングです。皆さんの資料のAをご覧下さい。ランキングすることで「私にとっての平和」を考えてみます。時間の関係で4つのランキングにしました。一番上が重要。一番下が重要でない。それをABCDに当てはめて下さい。まずは一人で考えます。それからグループで話し合い、代表者が、一番上と、一番下を発表します。
これが結果です。一番重要だと思うものが、ほとんどがCでした。「物質的に豊かでなくても心が穏やかである」その理由として、「穏やかでないと争いが起きてしまう」「平和か否かは心で決まる」「物があってもいらいらしては無意味である」「心が穏やかだと生活を楽しめる」「人との関わりがあってこそ心が穏やかになる」大体同じような理由でした。逆に重要で無いというのが、Bです。一番下になります。「人との関わりがなくても、物質的で豊かである」は一番重要でない。
理由は、「いくら物があっても人との関わりがないと心が貧しくなる」「人との関わりがないと生きていけない」「平和は人との関わりがポイント」という意見もありました。
ランキング表が三角形になってしまった。どうしても一番下がないというグループがありました。そのグループは、教育問題を「一番重要ではない」にしようとしたが、実は教育問題も捨てがたいということでした。「教育環境が整っていることは大切だが、教育は始まりであり、教育がなければ何も勉強にならなのではないか。生きていく上で、例えば、字を覚えるとか、貧困から脱出することが、難しいのではないか。そのような理由で、教育環境を整えることは必要なので、自分たちのグループは三角形です」。ということでした。もともとランキングに答えはありません。よい意見交換ができたと思いました。
では、最後です。4つ折り最後C。「様々な問題はあるが、日本より平和なところはどこでしょうか」バングラデシュには様々な問題がありますが、日本より平和なところはどこだと思いますかと質問しました。「すごく勉強に対して真面目である」「教室いっぱいにせいとがいるが、みんなすごく真面目に勉強している。それがちょっと不思議。でも平和に見えた」「自然がたくさんある」「朝起きて寝るまでの生活の当たり前のことを何故か楽しくやっている」例えば、ご飯の仕度を手伝う、水を汲む、学校に行く、カレーを食べる、寝る準備をする、そういうのがすべて楽しんでいるように見える。「協力しあっている」「元気で明るい」「互に教え合う」学校に行っている子どもが帰宅後、学校に行けない子どもに、外で勉強を教えていたことから気づいたそうです。
最後に、ふりかえりをしました。気がついたことや意見を自由に発言する形にしました。「声を出さなくても、コミュニケーションを取る事が可能なことがわかった。だから、自分は英語が苦手だけれども、もしかしたら英語が話せなくてもコミュニケーションが取れるかもしれない」アイスブレーキングのバースディラインのふりかえりです。
「平和に対して、様々な角度から考えることが出来た。平和というと戦争関係の話し合いをすると思っていました。でも、自分にとっての平和とか、発展途上国のビデオを見てから、見て考える平和とか、様々な考え方があることがわかった。平和は自分が作り出すもの、人からお金をもらうとか、物を買ってもらうとか、そういうことじゃなくて、自分が心の中に平和があって、それをまた発信することが大切」これは一人の生徒のふりかえりです。
最後に先生たちに発言していただきました。「生徒とこのように真剣に話し合ったのは久しぶり」「生徒がこんなに深く考えているとは思わなかった」「生徒と話し合えてとても良かった」「楽しかった」「自分も勉強になった」という声が聞かれました。
プログラムの紹介は以上です。
平和プロジェクトの生徒との関わりから、私自身が学んだことがありました。それはニュートラルな目をもつことの大切さです。最後の、成果発表会のときに、ニ年生の男子が、アメリカとアフガンの悲劇の話を出して、「この問題について、ブッシュ大統領とビンラディン氏が話し合いをしなければならない。あの二人のコミュニケーション無しに、解決はあり得ないと思う。」と発言しました。そして三年生の男子はテロ行為を非難しながら、「なぜこんなにアメリカを怒っているのか、その理由をきちんと世界に伝えるべきだ。世界の人々に理解してもらえるような行動をしたらよい。」と、自分なりの意見をのべました。様々な情報を分析し、また歴史的背景を知ったうえでの感想でした。この二つは大変印象に残りました。
その後、個人論文を提出して平和プロジェクトは終了しました。
これで終わります。ありがとうございました。